世の中は【令和】ブーム 世の中歓迎ムード
僕たち不動産業界でも契約書に「令和元年」と記入することがでてきました。
昭和後期に生まれた僕は、昭和・平成・令和の3時代を生きてきたことになります。
僕らが扱う倉庫や工場の多くは「昭和生まれ」 築30年以上のものが多数
倉庫や工場ばっかり内見してる僕が見た
『昭和・平成・令和』3世代の倉庫の特徴を書いてみたいと思います。
賃貸の物件で1番古い倉庫・工場は?
一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)で募集されている賃貸倉庫・賃貸工場で築年数が1番古い物件はどんな物件が検索してみました。
東京都 工場
昭和14年(1939年)東京都大田区
2019年5月8日現在(レインズより)
東京には戦前の建物が賃貸で募集されてます。よくぞ空襲をくぐり抜け大地震に耐え抜いたという感じですね。連棟式建物や長屋などと呼ばれるタイプのものが多いです。
なぜこのような古い建物が健在しているのか?理由は2つ
1.「取り壊しをするため、各入居者に許可が必要、場合によっては費用負担が要る」
2.「建物が建築基準法上 建て替えが不可能」
すべての区分が同じ所有者でない場合、1戸のみの解体・切り離し、売却となるため、さまざまな制限がかかります。
埼玉県 倉庫
昭和41年(1966年) 埼玉県川口市
2019年5月8日現在(レインズより)
外壁の内装もリフォームされてるようですが、外壁のつなぎ目などみると、古い建物なんだとわかります。
千葉県 工場
昭和44年 1969年 千葉県鎌ケ谷市
2019年5月8日現在(レインズより)
神奈川県は横浜市港北区の昭和37年(1962年)
埼玉、千葉、神奈川の3県には流石に戦前(昭和20年以前)の物件はありません。
年代別 募集物件数
東京 | 神奈川 | 埼玉 | 千葉 | |
~1960(昭和35年) | 13 | |||
1961(昭和36年)
~ 1970(昭和45年) |
69 | 19 | 22 | 11 |
1971(昭和41年)
~ 1980(昭和55年) |
100 | 30 | 67 | 20 |
1981(昭和51年)
~ 1990(平成2年) |
206 | 63 | 221 | 69 |
1991(平成3年)
~ 2000(平成12年) |
90 | 28 | 107 | 11 |
2001(平成13年)
~ 2010(平成22年) |
24 | 13 | 10 | 11 |
2011(平成23年)~ | 10 | 8 | 11 | 4 |
2019.5 レインズ調べ
数字に出せば、はっきりわかりますね。
1980年台の物件(築20~30年)の物件が現役で可動しています。
一方で2011年以降の築10年未満の物件が本当に少ない。
これまでの倉庫・工場の役割
つくれば売れるという大量生産・大量消費を前提に、規格化された商品をつくり続け、国内物流量も右肩上がりで増加していきました。そのような歴史をたどれば、倉庫や工場の建物の造りの変化がわかってきます。
中2階がある
スペースの有効活用ができるのが中2階のメリット。物流量が多い時代=築年月が1980~1990年の物件に多いです。小さな荷物や種類が多い運送会社が利用していたのだろうと推測できます。中2階のある物件で注意しなければならないことは、消防法および建築基準法でありこれらに適したものである必要があります。
トイレがない。もしくは和式トイレ
大量生産の時代ですので、倉庫の役割は荷物を詰め込むことです。トレイがない物件ということは、1980年代以前のものが多くなります。時代の流れとともに倉庫の役割が、荷物の保管から建物内で作業する会社や物を作ったりと多様化してきました。トイレがない物件だと成約率は悪くなります。和式トイレがある物件ですと、洋式に交換される会社が多いです。
多層階
1970年代前半に土地面積が狭い都内では多層階の倉庫が多数建築されました。1階のプラットホームで荷物を下ろしてエレベーターで上層階にあげる。耐震性能に不安があったり、被災時に停電時のバックアップがないなど、設備面での不安があります。
倉庫・工場は基本的には『箱』、居住スペースと違って建物内に区切りや仕切りがないので、他業種に転用がしやすかったり、リフォームがしやすいというメリットがあります。ですので、築30年を超えた倉庫や工場が現役で可動しています。ただ時代ともに倉庫・工場の役割が変わっているので、リフォームしないで昔のままの状態たったら、借り手がつきにくいということは間違いありません。
これから 令和の倉庫・工場の役割
日本独自のマルチテナント型物流施設
@GLP圏央五霞
ランプウェイでトラックを倉庫内に直接乗り上げることができるのが特徴でもある『マルチテナント型物流施設』。アメリカなどの海外では物流施設は平屋建て主流のようだったようですが、ランプウェイは土地が狭い日本ならではの発想のようで、多層階のマルチテナント型物流施設はアメリカに逆輸入。アマゾンなどのネット通販事業者が必要とする設内のスペースは、従来型の店舗販売の物流倉庫の倍以上の広さが必要で、消費者により近い立地=都市部に施設を持つことが必要となりマルチテナント型物流施設が必要となりました。そのようなその背景から関東周辺では大型物流施設の建築が続いてます。都心部寄りの地域で開発の見込める土地は極めて少ないく、現在では春日部の国道16号沿いや圏央道のインター周辺、常磐道の流山インターなどの土地で開発が進んでいます。
労働環境の整備
@GLP圏央五霞
物件を借りる理由に『労働環境を整えること』を理由にする企業が増えています。倉庫や工場を利用する運送業や製造業は人手不足が続いている。2019年4月1日から働き方改革関連法案が順次施行され、その中で「時間外労働の上限規制の導入」が行われます。運送会社の悩みどころは「移動時間」ドライバーの移動時間を短縮するため、多くの会社は立地を必須条件にするようになりました。配送エリアが都心がメインであれば、ならべく都心に近い外環自動車道インター周辺(川口市、草加市、八潮市、三郷市)は相変わらず人気エリアとなってます。それは今までの理由と変わらないのですが、『配送時間を短縮したい』という背景には運賃のコストカットだけでなく、従業員にやめられては困るので、通勤時間を短くしたい。という従業員さんをベースにした考え方に変わっている企業が増えてきている感じがします。「人手不足で会社が倒産」という新聞記事も目にすることが増えている昨今ですから。従業員が働きやすいように
物流施設の中にカフェ、コンビニエンスストアがあったり、託児所があったりと都心のオフィスビルじゃないのか。という設備が最新の物流施設にはあります。倉庫や工場という空間を貸すだけでは、今後はテナントがなかなかつきにくくなってくるのではないでしょうか。
流行りはマルチテナント型施設のような『大型』で『高機能』な物件になっています。しかし多くの中小企業が求めるサイズの物件は、築30年以上のものが多数。倉庫や工場の使用可能年数は一般的に40年から50年程度と言われています。古くてもまだまだ貸せる余地がある倉庫や工場はあります。安易に解体してマンションにしたり、分譲地にしたりするケースが多い気がします。マルチテナント型倉庫みたいな設備を整えないと駄目とはいいませんが、最低限の清掃をして引き渡すだとか。トイレを新設するとか。できることはあるはずです。
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