
「この倉庫、ずいぶん賃料が安いですね」
市街化調整区域の貸倉庫を見ていると、こう感じる方は多いと思います。
同じくらいの広さの倉庫と比べて、月額賃料がかなり抑えられている。敷地も広い。車も何台か置けそうです。
「これはお得かもしれない」と思う一方で、安い理由を確認しないまま契約するのは少し危険です。
市街化調整区域の倉庫が安いのは、単に古いから、駅から遠いからという理由だけではありません。
土地の使われ方、建物の許可、道路、周辺環境、災害リスクなど、賃料に影響する条件がいくつもあります。
今回は、埼玉県内で貸倉庫を探している法人様に向けて、市街化調整区域の倉庫が安く見える理由と、賃料だけで決めてはいけないポイントを整理します。
📉 市街化調整区域の貸倉庫が安い4つの理由
まず、なぜ賃料が安くなりやすいのかを見ていきます。
もちろん、すべての物件が安いわけではありません。大型車が入りやすく、幹線道路にも近く、建物の状態も良ければ、調整区域でも賃料が高い物件はあります。
そのうえで、一般的に賃料を抑える方向に働きやすい要因が4つあります。
1.市街化を抑制する区域だから
市街化調整区域は、都市計画上、市街化を抑制すべき区域とされています。
市街化区域のように、住宅や店舗、事業所などが計画的に集まっていくことを前提にした場所ではありません。
そのため、立地できる建物や用途には一定の制限があります。誰でも自由に建てられる場所ではない、ということです。
この制限は、倉庫を借りる会社にとっては注意点になりますが、貸主側から見ると、借主の候補が限られやすい要因にもなります。
借りられる会社や使い方が限られる。だから、賃料を抑えて募集する物件が出てきます。
2.駅から離れた場所にあることが多いから
市街化調整区域の倉庫は、駅前の市街地ではなく、農地や空地が残る地域に建っていることが多くあります。
従業員が電車で通勤する会社にとっては、駅からの距離がデメリットになります。
一方で、車やトラックで動く会社なら、駅距離よりも幹線道路への出やすさの方が大事です。
つまり、駅から遠いこと自体が悪いわけではありません。自社の仕事にとって、その立地が不便かどうかで見方が変わります。
3.建物や設備が古いことがあるから
調整区域の倉庫には、長く使われてきた建物も少なくありません。
天井が高い、敷地が広い、クレーンがあるなど、今では新しく造ると費用がかかる特徴を持っている物件もあります。
ただし、外壁や屋根、シャッター、照明、電気設備、トイレなどが古い場合もあります。
賃料が安い分、入居後に修繕や設備交換が必要になることもあります。どこまでを貸主が直し、どこからが借主負担なのかは、契約前に確認しておきたいところです。
4.借り手が限られやすいから
市街化調整区域の倉庫は、すべての会社が同じように使えるとは限りません。
倉庫として保管するだけなら検討しやすい物件でも、製造、加工、店舗、事務所、車両整備などを行う場合は、別の確認が必要になります。
この確認をしないまま借りられる会社を探すと、募集期間が長くなりやすい。結果として、賃料を下げて募集するケースがあります。
ここが、単純な「掘り出し物」とは違うところです。
⚠️ 安い倉庫を見つけたときに最初に確認すること
安い物件を見つけたら、すぐに内見を申し込むのは悪くありません。
ただ、問い合わせの段階で最低限の使い方を伝えておくと、後から話が振り出しに戻りにくくなります。
特に、次のような内容です。
・何を保管するのか
・倉庫内で加工や組立てをするのか
・従業員は何人か
・1日に何台の車両が出入りするのか
・大型トラックが来るのか
・荷物を置くだけか、荷捌きも行うのか
・営業時間や作業時間は何時から何時までか
「倉庫として使います」だけでは、判断できないことがあります。
例えば、ネット通販の商品を保管するだけなら問題がなさそうに見えても、毎日多くの車両が出入りし、スタッフが梱包作業を行うなら、周辺環境や建物の使い方まで確認する必要があります。
安い理由を知るには、賃料ではなく、実際の運営方法を当てはめて考えることが大切です。
🚧 「安いけれど借りにくい」物件もある
市街化調整区域の倉庫で、特に注意したいのが、建物はあるのに希望する使い方ができないケースです。
市街化調整区域では、建物の建築だけでなく、建物の使用や用途変更も規制の対象になります。
建築当時の開発許可や建築許可で、予定建築物の用途が定められていることがあるためです。
「建物が建っている」ことと、「自社の業種で使える」ことは別の話です。
倉庫として許可された建物を倉庫として使うのか、工場や作業場に変えるのか。店舗や事務所を併設するのか。ここで確認内容が変わります。
賃料が安い物件ほど、契約前に許可内容や利用方法を確認しておきたい理由がここにあります。
🚚 道路と車両の条件で、安さの意味が変わる
倉庫では、駅距離よりも車両動線が重要になることがあります。
しかし、地図で見ると幹線道路に近くても、最後の道が狭いことがあります。
大型車が曲がれない。荷捌きスペースがない。近隣住宅の前で待機することになる。こうした条件があると、賃料が安くても毎日の仕事が止まります。
内見では、倉庫の中だけでなく、入口から前面道路まで実際に走って確認してください。
可能なら、普段使う車両と同じ大きさの車で、昼間と作業時間帯の両方を見ておくと安心です。
八潮市・三郷市・草加市東部で見るポイント
八潮市、三郷市、草加市東部の倉庫は、外環道や首都高、幹線道路へのアクセスを重視する会社から人気があります。
ただし、同じエリアでも、前面道路の幅、住宅との距離、荷捌きのしやすさは物件ごとに違います。
交通の便が良いから高い、駅から遠いから安い、と単純には言えません。トラックが実際に動けるかまで見て、初めて賃料の意味が分かります。
所沢市南永井・川越市・狭山市で見るポイント
所沢市南永井、川越市、狭山市、圏央道周辺では、敷地の広い倉庫や資材置場が見つかることがあります。
その分、駅からの距離や従業員の通勤、周辺道路の混雑が気になる場合があります。
また、農地転用や開発許可の履歴が関係している土地では、倉庫だけでなく敷地の使い方にも条件が残っている可能性があります。
広いから安い、ではなく、広い敷地を自社で本当に使い切れるか。ここを考える必要があります。
🌧️ 賃料が安い理由に水害リスクが含まれることもある
市街化調整区域の倉庫を探すときは、ハザードマップも確認してください。
埼玉県東部の八潮市、三郷市、草加市周辺や、川口市の一部、川越市周辺などでは、河川や水路との位置関係を確認したい物件があります。
もちろん、調整区域だから水害リスクが高いという意味ではありません。市街化区域にも浸水想定区域はあります。
ただ、倉庫は商品や機械、書類などを保管する場所です。浸水した場合の損失が大きい会社は、床の高さ、止水対策、避難経路、保険の補償内容まで確認しておいた方がよいでしょう。
月額賃料が数万円安くても、商品が一度水に浸かれば、その差額は簡単に消えてしまいます。
これは賃料の比較ではなく、事業を止めないための確認です。
💰 月額賃料だけでなく、年間コストで考える
例えば、A物件が月額40万円、B物件が月額60万円だとします。
月額だけを見ると、A物件の方が20万円安い。年間では240万円の差になります。
ただ、A物件で毎月余計に車両を走らせることになったり、荷役に時間がかかったり、設備修繕に費用がかかったりすれば、差額は小さくなります。
これはあくまで計算例ですが、安い物件を見るときは、次の費用も一緒に考えます。
・契約時の保証金や礼金
・内装、照明、空調、電気工事費
・シャッターや屋根などの修繕費
・通勤や配送にかかる車両費・時間
・水害、火災、機械故障などの事業リスク
賃料が安いことは、もちろん大きなメリットです。
だからこそ、安さの理由を確認して、自社にとって本当に得なのかを判断します。
✅ まとめ:安い理由を理解できれば、調整区域の倉庫は選択肢になる
市街化調整区域の貸倉庫が安い理由には、市街化を抑制する区域であること、駅から離れていること、建物が古いこと、借り手や使い方が限られやすいことなどがあります。
これらは、すべてデメリットというわけではありません。
車両中心で動く会社にとっては、駅から遠いことよりも、広い敷地と賃料の安さがメリットになることがあります。
一方で、許可された用途と自社の使い方が合わない、トラックが入れない、水害時の損失が大きいということであれば、安い賃料だけで決めるのは危険です。
市街化調整区域の倉庫は、「安い物件を探す」よりも、「安い理由を理解して選ぶ」ことが大切です。
貸倉庫東京Rでは、保管する物、倉庫内の作業、車両台数、希望エリアを確認しながら物件をご案内しています。
賃料だけで判断する前に、自社の使い方で問題がないか、一緒に確認していきましょう。
参考:確認しておきたい公的情報
・埼玉県:市街化区域・市街化調整区域
・埼玉県:開発許可制度の解説
・さいたま市:都市計画法における開発許可制度について
・川口市:市街化調整区域土地バンク制度
・川越市:市街化調整区域における建築行為について
・国土地理院:ハザードマップポータルサイト























